栽培を始める前に、どんな作物をどんなところで育てるのが適しているかを選びます。同じ作物を続けて作らないことや、ご自分の畑の土壌の条件によって適しているものを選んで育てるなど、失敗が少なく質のよい野菜づくりの第一歩になります。
作物の選定基準
栽培する野菜の種類を選ぶ上でのポイントは、いくつかあります。作業の効率や畑に質にあわせて選ぶことをお勧めします。
【1】同じ科に属する野菜での連作は極力避ける。とくにマメ科とナス科は3~4年あける。
【2】作付け前に土づくりを行う。完熟たい肥を入れると土は肥えますが、発酵が未成熟な堆肥は育成障害の原因を作るので用いない。特に根菜類。
【3】労力にあわせた作付面積とする。果菜類や豆類などは、収穫適期内での収穫がでいないほど労力以上に作付けを行わないようにする。品種により早生系は収穫期間が短く、晩成は長い傾向にあるので、そうした品種の育成具合を活かして作付けすることも可能です。
【4】栽培時期にあった品種を選定する。各品種に適した温度条件や日照条件があり、不適であると育成が劣ったりとうがたったりして品質が低下します。早期栽培を行う場合は、耐寒性や耐暑性にすぐれ、病気への対抗性品種を用いること。
【5】端境期の出荷、収穫期間の拡大をする。ハウスなどの施設を活用したり、トンネルなどのマルチ資材を使い季節の変わり目に出荷物が途切れないように工夫をする。
野菜の性質により、素早く出荷する必要があるものや蓄えて時期をみてだせるものなど、条件のよいものを選定すること。
(1)鮮度
新鮮さがもめられる菜類、抜菜、果菜類など。特にスイートコーン、春菊、ほうれん草、インゲンマメ、ブロッコリー、さやえんどう、枝豆などがあげられる。トマト、露地メロンも含まれます。
(2)保存性
適切な保存によって長期間出荷ができるもの、また消費量が多いものなど。サツマイモ、じゃがいも、里芋、玉ねぎ、にんにくなど。
(3)旬のもの
山菜(うど、わらび、たらの芽)、みょうが、そら豆など。限定した季節感を有する野菜が¥です。
(4)地域性・特殊性
レンコン、自然薯、ふきなどの特産品
野菜の分類
大きく3つに分類できます。利用部分から葉菜、果菜、根菜でわけられ、同じ科に属する野菜を続けて作ると連作障害が起こる可能性が高まります。障害の原因は、土壌養分の過不足や不均衡、微量要素の欠乏、作物特有の病害虫の密度上昇、有害物質の集積などがあげられます。
対策としては、輪作の導入、肥料や土壌改良材の合理的施用、土壌の消毒、病害虫につよい品種の選定など。作物によっては生産力がていかしない作物があったり、さつまいもやかぼちゃなど生産性や品質が向上するものもあるので、組み合わせを活かして作付けするとよい。
連作障害の出にくい野菜
カボチャ、サツマイモ、春菊、玉ねぎ、ネギ、にんにく、スイートコーン、人参、大根、オクラなど
連作障害の出やすい野菜
えんどう、そらまめ、トマト、ナス、ピーマン、スイカ、キュウリ、メロン、レタス、セルリーなど
主な野菜の輪作年限
1年:ほうれん草、京菜、インゲンマメ、カブ
2年:白菜、キャベツ、ブロッコリ―、レタス、セルリー、パセリ、三つ葉、ニラ、イチゴ、ショウガ
3~4年:ナス、トマト、ピーマン、カリフラワー、キュウリ、メロン、ゴボウ、ジャガイモ、ジャガイモ、ソラマメ、サトイモ
5~6年:スイカ、カリモリ、エンドウ
※果菜類は接木をすれば連作が可能
栽培の難易度
栽培期間が長いものほど、病害虫被害や気象の影響を多く受けるため、難易度が高くなりがちです。また、育苗や整枝、施肥などの適期作業が必要になるため、手がかかるため単価と見合わない可能性もあります。
栽培地域の気象条件や土壌条件など、適期適性のあるものなら比較的栽培は容易になり、品質も向上します。