「野菜づくりは天地人」。これは農業の勉強を始めた初日に先生から言われた一言です。
農業だけでなく、すべてに通じる大事な心構えです。

「天」
天気・天候のこと。温度や湿度、梅雨や台風、寒風、季節の移り変わりなども全部です。
特に気温には敏感な野菜が多くあり、秋冬野菜はとくにデリケート。苗づくりが一週間遅れると収穫は1カ月遅れます。暖冬ならまだ育ちますが、例年以上の冷え込みで雪が多い年なら、2カ月以上遅れることもあるくらい。夏は水不足で干からびたり、逆に雨が多い年なら根腐れしたり…。
異常気象だと言われて久しい昨今。何十年も農業を営んでいる人でも「ここ2~3年は特に読めん」と言うほど厳しくなっています。

「地」
作付けする土のこと。粘質土、砂質土と大きく分けると二つですが、礫土や酸性土壌などの細かい土質まで調べることをお勧めします。土質を知れば、その土壌にあった育てやすい野菜がわかります。野菜の性質と、土の性質がマッチすると驚くほどに手間いらずでスクスクと育ち、とっても美味しくなるんです。作りたい野菜と質の合う野菜が違ったときは、手間をかけてあげて育ちやすい環境をつくってあげることができます。これは次項の「人」ができる工夫の話ですね。土づくりはとっても大切なので、また詳しく記載します。

「人」
私たち、人です。一番下ということでお分かりだと思いますが、要するに自然には勝てません。台風が直撃して吹っ飛ばされたらどうしようもありません。ですが、知恵と工夫で天地の状態に対応ができます。人ができる最大の利点は臨機応変。これにつきます。台風がきても大丈夫なように、しっかりと支柱をたてたり、大雨に備えてあらかじめ高畝にしておいたり。天気や土の状態をみて工夫することで、野菜がイキイキできる環境をつくってあげられます。

でも実は、人がやることほど野菜にとって厄介なことはないんです。野菜はもともとの野山で育っていたものを、人の食べやすい形にしたものです。過剰な肥料や堆肥は野菜を腐らせる原因にもなります。野菜や土のことをしっかり学んで、最適なサポート役になれるといいですね。