有機質肥料は畑の生態系のバランスを保ち、豊かになっていくことが一番の特徴です。
無農薬で野菜を育てるためには、畑の生き物がバランスよく育っていることが大切。そのバランスを整えるためには、有機質肥料が大きな役割を果たします!

Point1:有機質は植物ではなく、土のエサ。

有機質肥料は化学肥料のようにすぐに植物に吸収されて効き目があるものではありません。しかも、土に施した肥料はすべてがそのまま作物に吸収されるわけではありません。ほとんどが土のなかにいる微生物や菌のエサとして取り込まれます。微生物は有機物を養分とするだけでなく、住処にもしています。死ぬと栄養素を吸収した身体ごと腐植・分解されて土に還ります。こうして野菜が吸収できる栄養豊富な土ができあがります。
もちろん土の中では穏やかに環境が変わっていき、微生物が増え、それを目当てに虫も増えます。この頃には土に養分が浸透しています。野菜だけではなく、みんなが健やかに育つための土がつくられています。

Point2:多様な生き物が、病害虫を予防。

沢山の微生物が増えるとそれを目当てに虫も寄ってきます。中には病原菌や害虫もいますが、多様な生物でバランスが保たれていれば、それを食べる生き物が必ず居ます。大きな被害がでるほど急激に病害虫が広がりません。
壊滅的な被害が減少します。バランスのいい畑は虫だけではなく、特定の菌だけが勢いよく広がることが少ないことも特徴です。カビやウィルスによる被害が大発生して全滅…ということも少ないのです。こうした環境全体で病気・害虫を予防できるのも有機栽培のメリットです。
とくに効果的なのは、敷き藁や敷き草をして地面をカバーすること。草マルチなんていう言葉もできましたね。地表を覆うことで、土中の生き物がさらに増えて、生態系全体がより豊かになるんです。育てることを目的とした即効性のある化学肥料とは違い、じっくりゆっくり環境を整えることがすくすくと育つことにつながっています。

Point3:野菜がおいしいのは、団粒構造のおかげ♪

有機質肥料は野菜の味をよくするとききます。それは、肥料に含まれるミネラルなどの微量要素が味に深みを持たせるからだと言われています。でも実は、それだけではないんです。
土の中には空気や水が入れる隙間がありますが、単に土の粒子だけでは隙間が小さく、水の排水が悪く酸素不足になりやすい点が挙げられます。ここで重要なのが、微生物が作り出す団粒構造があるか無いかです。土中では微生物の増加と腐植が起こると前述しましたが、これは土中に団粒構造をつくりだすことにもなります。団粒構造とは、土の粒子、微生物、微生物の分泌物、微生物の死がいが腐植したもの、細菌とその菌糸などがつなぎとなって形成される小さな塊です。これがあることで、水分と養分が蓄えられます。団粒の隙間が大きく排水されやすいので、通気性もよくなります。有機肥料がこの団粒構造を生み出し、有機肥料の成分をとどまりやすくして、さらに根から吸収されやすい環境までつくりあげているんです。

有機肥料の個性を活かす!

代表格は「米ぬか・油粕・けいふん」と、それらを発酵させた「ぼかし肥料」です。窒素、燐酸、加里なども豊富に含みます。さらに微量なミネラルも豊富です。土質などのタイプによって、スギナが生える土壌ならphを整える貝殻や炭をいれたり、病害の予防にはカニ殻やエビ殻をいれるなど、有機肥料の成分も効果も様々です。バランスを整えられるように工夫して施しましょう。
ただし、沢山あっても吸収しきれないので、一度に与えずに少なめに継続するのがコツ。