有機質肥料は化学肥料と比べてゆっくり効いてきますが、土と混ぜ合わせると分解の過程でガスを発生します。それにより作物に障害を与える場合があります。そうしたリスクを避けるために、有機質肥料はそのまま生で施すよりも、いったん発酵させたボカシ肥料にするのがおすすめです。

有機質肥料の性能をアップ

ボカシ肥料は、材料に微生物を増殖させて発酵した肥料です。「菌体肥料」とも呼ばれています。栄養分の多い有機質肥料に水をまぜ発酵させることで出来上がります。生のまま有機肥料に比べ、ガス化で揮発したり、雨で流出するロスが少なく、長期にわたって効果が持続します。嫌な臭いもしません。発酵時に有用微生物が多く発生しますので、土にいる病原菌が抑えられるメリットもあります。

★ボカシ肥料の特徴
・嫌な臭いがしない
・効き目がゆっくりで穏やか
・土に入れたときガスで揮発しない
・雨で流出する成分ロスが少ない
・効果が長く持続する
・有用微生物のおかげで病原菌が抑えられる

発酵の違いで変わる、効き方の違い

自家製ボカシ肥料は、発酵のさせかたで3つに分類されます。効き方も違いますので特徴にあわせて自分用に作り分けるといいかもしれません。

好気性発酵ボカシ肥料
一般的な使いやすいボカシ肥料です。発酵の途中で切り返しを行い、空気を含ませながら微生物を育てます。ほとんどの成分を微生物のエサとして使用することで、穏やかに長く効くタイプになります。

早効き型好気性発酵ボカシ肥料
好気性の発行途中で止め、半発酵にしたボカシ肥料。持続性は劣りますが、微生物が使っていない生の成分も残るため、水に溶け比較的早く効果を発揮するタイプです。すぐ効く半面、あまり長くは効きません。

嫌気性発酵ボカシ肥料
空気を抜いて密閉容器の中で乳酸を発酵させた肥料です。ぬか漬けなどに近い甘酸っぱいにおいがします。表面に白い菌が発生します。畑にまくと好気性再発行をするので、最初に効いたあとゆっくりと効くタイプです。

畑に合わせたオリジナル配合レシピ

ボカシ肥料の材料は、有機質肥料を主体にいろんなものが組み合わせ可能です。基本的には窒素、リン酸、カリウムなどの栄養素の割合が多いものを主体にします。例えば、プラスαでクズ大豆やクズ麦などを水に浸したものを配合したり、家庭から出る生ごみを乾燥させて入れたりするところもあります。材料となるものは、微生物が分解できて、肥料成分になればいろいろ使えます。

参考レシピ

・米ぬか:発酵けいふん:腐葉土=3:3:3
窒素は少な目ですがリン酸が多く、実のなるは供物にお勧め。菌が豊富な腐葉土のおかげで発酵が進みます。
・米ぬか:油粕:籾殻=5:3:2
窒素とリン酸をバランスよく含みます。籾殻をいれることで、穏やかに窒素成分を持続できます。
・発酵けいふん:油粕=5:5
窒素・リン酸が豊富で早めに効果を発揮します。施しすぎると硝酸が過剰になり味を落とし、病害虫にやられます。

施肥の注意

市販の化学肥料のように成分を保証するものではありませんの、野菜の様子をみながら施してください。長く続けることで、畑に蓄えられる養分もあり地力がアップしていきます。5年、10年と続けるうちに、地力がついてきたなと感じたら施肥量を加減していくのも大切です。

<元肥>
施肥量の目安は300~500g/1㎡。(葉菜類は多くても300g)
葉菜類や根菜は全面に施肥する。浅めに土と混ぜ合わせ、なじませます。
果菜類は畝に集中して施肥する。定植する一の下に深さ20~30cmの溝をほり底に施肥。埋め戻して畝をもります。
※2~3週間ほど後に作付けを始める。しっかりと発酵のできた好気性発酵ボカシ肥料の場合は、すぐに作付け可能です。

<追肥>
葉物類は、育成期間が短いので、追肥は必要ありません。ナスやキュウリなどの果菜類は、花の咲くころから真夏まで何度かに分けて行います。施肥後は軽く土に混ぜ合わせるか、上から刈草などを敷き草マルチをする。