ホウレンソウの育て方【葉菜類・アカザ科】
春と秋の2回作付けのタイミングがありますので、真夏以外は年中育てることができます。気温が高くなるととう立ちしやすい上に、葉先が黄色くなります。暑さに弱いほうれん草ですが、寒さにあたると糖度を高めて葉をまもるので、甘くておいしくなります。初心者は害虫の少ない秋冬に育てるのがお勧めです。
土づくり
ホウレンソウは酸性に弱いので、苦土石灰や牡蠣殻石灰を施して中和しておく。牛ふん堆肥などを入れ水はけのよい土にしておく。また、連作を嫌いますので2年ほど間をあけるとよい。前作で黄色い葉がおおかった場合は酸性に傾きがちの可能性がありますので、しっかりと土壌を中和させておくことをお勧めします。
また、コンパニオンプランツとして、葉ネギを一緒に植えるのがオススメです。ホウレンソウの種を蒔いた周辺に、1ヶ月ほど育苗した葉ネギを植え付けます。ホウレンソウの害虫は葉ネギを嫌います。また、葉ネギには、ホウレンソウの「萎凋病」を予防するほか、硝酸を減らす効果もあります。
種まき
80~100cm幅の畝と立てます。水はけの悪い土地の場合は、畝の高さを10~15cmほど高めに畝建てする。条間15~20cmほどで、4列か5列のスジ撒きをします。ホウレンソウは直根タイプなので、移植はせずに畑に直接まきます。
種の上にかぶせる覆土にばらつきがあると、発芽がそろわなかったり、ヘコミに水がたまり立ち枯れを起こすこともあります。撒き溝を平らにして、覆土の深さもばらつきがないよう注意します。覆土をした上から軽く圧着して雨による種の流出を防ぎます。
自家採種の種を使う場合
春に採種した新しい種を使うと、思うように発芽しないことがあります。これは完熟後3カ月くらいの休眠期があるためです。対策としては種を水につけることで、種皮に含まれる休眠物質が水に溶けだし発芽しやすくなります。水を2~3回取り替えると、さらに発芽しやすくなります。十分に水につけてから、水からあげて日陰に1~2日置いておくと根が出てきますので、それを使うと発芽がそろいやすくなります。
間引き・追肥
子葉が開ききったころ、混みすぎたところや、発芽遅れ、徒長株を間引きます。本葉が1枚のころに3cm間隔に間引き、除草もかねて条間を中耕して1回目の追肥を行います。
追肥:わかば有機50~60g/㎡
本葉4~5枚の頃、株間を5cmに間引き、1回目と同じように耕して条間に2回目の追肥をする。
※株間が混みすぎていると、葉が小さく長くなりがちです。適度に株間を作ることで、同じ葉数でも葉が大型で重量のあるものが収穫できます。
収穫
ホウレンソウは育成が早いので、暖かい時期は45日程度で収穫可能です。晩秋の場合でも70~80日程度で収穫できます。
栄養
ホウレンソウは、株元の赤い部分(胚軸)が糖分が蓄えられて甘い箇所です。また、霜や寒さに当たると葉が地面を這うようにロゼッタ状に広がり、葉が肉厚になり栄養と甘みを蓄えた「寒締めホウレンソウ」が楽しめます。
ほうれん草の旬は、11月から2月にかけての寒い時期です。この寒い時期のほうれん草は、夏場に出回るほうれん草と比べて、よりたくさんの栄養を含んでいるんです。冬場のほうれん草が甘いと言われるのは、この栄養の量の違いからです。冬のほうれん草に含まれるビタミンの量は、夏のほうれん草の約3倍近くもあります。夏のほうれん草は成長が早いこともあり、栄養を蓄える前に収穫してしまうこと。そして、寒さに耐えるために植物自身がより多くの栄養価を蓄えるためです。栄養や糖分を蓄えると、気温が氷点下になっても凍らなくて済みます。冬に収穫できる白菜や大根など冬の野菜が味が濃いと言われるのもそのためです。