トウモロコシの育て方【果菜類・イネ科】
トウモロコシには多くの種類や品種があります。基本的には病気に強く、土づくりと肥料をしっかりやっていればぐんぐん育つ作物です。難敵は茎や実を食い荒らしてしまうアワノメイガだけです。無農薬の場合はかなりの確率で被害にあいますので、時期をずらして植えるのが有効な対策になります。「虫対策の早植えトウモロコシ」も参考にしてください。同じく虫の発生時をずらした、夏まき初冬採りも話題になっています。地温があったかいので、十分育ち虫の発生も少ないので、とても育てやすいと思います。初冬にトウモロコシは少し時季外れな感じもしますが、寒暖の差があるほうが甘みは増すので期待ができます。
苗づくり
トウモロコシは露地での直播きも可能ですが、セルトレイでの育苗をお勧めします。直播きのメリットは根張りがよくなることですが、根切り虫などの害虫被害や、鳥害対策の面でも先に苗を育ててから定植したほうが失敗が少なくなります。
72穴のセルトレイに一粒ずつ入れます。10cmくらいになったら定植する。
発芽の適期は4月下旬~5月下旬ごろ。早採りをしたいときは3月上旬にまき、ビニールハウスやトンネルなどビニールをかけて暖かいところで育苗する。
土づくり
定植の3週間前から準備を始めます。根が垂直方向によく伸びるので、30cmほど深く耕しておくとよい。肥料を多く必要とする作物で、肥料の分布にムラがあったり、養分が足らなかったりすると成長に大きく影響するので、入念に行ってください。
3週間前 堆肥:3kg/㎡(腐葉土などを全面施肥)
2週間前 炭酸苦土石灰:100g/㎡
1週間前 わかば有機100g/㎡(米ぬかを発酵させたボカシ肥の場合400g/㎡)
定植
苗の丈が10cm程度になったら、株間30~40cm、条間40~50cmで一株ずつ植え付けます。幅広の高畝をつくり黒マルチをはることで、地温を高める効果があり初期の育成を助けます。
追肥・土寄せ・水やり
追肥は計4回行います。草丈30~50cmになったら1回目の追肥を与え、土寄せを行います。土寄せをすることで、株が倒れるのを防ぐことができます。根元から出るわき芽は基本的にはそのままにしておきますが、大きくなりすぎる場合はかき取ります。また雌穂がでる一ケ月前から収穫期にかけて乾きすぎにならないように定期的に水をかける。
2回目は雄穂が見え始めたころ、3回目は雄穂が咲いたころに行い、そのつど土寄せも行います。4回目は実が膨らみ始めたころに液肥を与えます。
追肥:わかば有機30g/㎡(ボカシ肥は120g/㎡)、液肥(既定の倍率で薄めた液肥)
防除・収穫
雄穂が咲き始めたころ、花の匂いにアワノメイガが寄ってきます。幼虫が芯に入り込み食い荒らされてしまうので、防虫対策は雄穂が咲く前が肝心です。カメムシは梅雨のあけた7月頃から活発になります。株数が多い場合は、栽培スペース全体を杭で覆い、防虫ネットを全体にかけるのをお勧めしますが、数畝でしたら防虫ネットを畝にそってかぶせるように覆うだけでも被害が防げます。実が大きくなってきたら、カラスによる鳥害もありますので、全体が覆われていると虫だけでなく防鳥にもなり安心です。
収穫の判断基準のひとつは、雌穂のひげ(絹糸)の色です。絹糸がでてから20日後が収穫期だという見方もありますが、全体的に濃い茶色るまで待ちましょう。穂先を軽くつまんでみて実の入り具合をみることもできます。収穫が早すぎると甘みや香りが不十分で、育ちすぎると実が固くなり触感が落ちるので、適期を逃さないように注意してください。
収穫後、5~6時間で糖分が減少するので、できるだけ出荷直前に収穫しましょう。
また、トウモロコシは寒暖の差が大きいとみずみずしさが増し、糖度が高くなります。北海道のトウモロコシが美味しいのは気候に適しているからです。中間地や暖地でつくるのなら、早撒きが遅まきをすることで甘いコーンを栽培することも可能です。