サツマイモ【根菜類・ヒルガオ科】
原産国が中米ということもあり、真夏の暑さと渇きのなかでもぐんぐん伸びていきます。肥料も必要なく、初心者でもそだてやすい作物のひとつです。基本的には芋苗を購入して植え付けます。前年の芋から育てることも可能ですが、購入した苗以外で育てた芋は出荷を控えるようにしてください。
土づくり
前の作物の肥料が多く残っていると、ツルばかり伸びて芋の肥大や食味が落ちてしまうので、やりすぎないよう施肥量には特に注意がひつようです。基本的には元肥のみとしますが、砂質土で水と一緒に肥料が流れ出てしまう圃場の場合は、様子をみて追肥を行うようにしていください。
コガネムシ類による食害を防ぐために、既定の粒剤を全面に処理しておく。
かまぼこ型の80cm幅の畝をつくっておく。マルチをする場合は、植え付けの5~7日前には被覆しておくと、地温があがり育成がよくなります。乾燥している場合には、植え付け前に潅水して水分を調整しておくとよい。
定植
長さ20~25cm、節数6~7の苗を準備し、株間30~35cm程度で定植する。斜め植えや船底上等があり、土中に埋める節数によって芋の数や大きさが変わります。多くの節を埋める船底植えは、芋の数は多くなりますが、一個あたりの芋は小さくなる。また、斜め植えの場合は、芋の数は少なくなりますが、一個あたりが大きくなります。収穫したい大きさによって、植え方を調整するとよい。
管理・病害虫予防
ツルが伸びるまでは除草を行う。日照りが続き、乾燥している場合は潅水を行う。また畝間に伸びてきたツルから根がでてきた場合、ツルを引き上げ株元に返す蔓返しを行うと芋に栄養がいき肥大します。
育成中期~後期には、食葉害虫のイモコガ、ハスモンヨトウなどの幼虫が発生しやすくなります。よく観察して、幼虫が小さいうちに防除を行います。
収穫
定植後100日後を目安に収穫を行う。見た目での収穫目安は、葉が茎が黄色くなり始めたころです。芋に育成は、その年の水分量や気温により異なりますので、試し掘りをして、確認後に掘り上げてみるのをお勧めします。天気のよい土の乾いた日に収穫を行うと保存がしやすいです。
収穫が遅れて霜ができるようになると、芋が霜焼けして変色してしまうので、早めに掘り上げてください。
貯蔵
芋は長期間保存がきく作物です。年明け1月、2月まで上手に保存しておくと、ぐっと甘みが増します。収穫後、晴天の日に半日ほで陽にあて、新聞紙でくるんで発砲スチロールや段ボールにいれて保管します。日が当たらず、気温の差が少ない場所が最適です。
サツマイモの最適な貯蔵温度は13~15℃、湿度は90%。9℃以下になると寒害で腐敗してきます。逆に、18℃以上になると芽が出てきて養分を消耗してしまいますので、ご注意ください。収穫した後もサツマイモは呼吸をしているので、息抜き用の小さな穴をあけておきましょう。
サツマイモの栄養
サツマイモはビタミンCとカルシウムを多く含む食品です。芋類に含まれるビタミンCは熱に強いため、加熱されても壊れにくいという特性があります。ビタミンCは肌の老化を防ぐ美容効果があります。また体の免疫力を高め、風邪などの予防に効果があります。そして金時など黄色い果肉のさつまいもに多く含まれるカロチンは、体内でビタミンAに変わるので、視力の低下や夜盲症などを防ぎ、目を健康に保ってくれます。また多く含まれる食物繊維が腸内を活性化させる作用があるのと、ヤラピンという成分に便通を促す効果があるため、便秘を解消します。食物繊維にはコレステロールや血糖値を低く安定させる作用もあり、動脈硬化や糖尿病などの成人病を予防してくれます。サツマイモが甘いのは、酵素アミラーゼという成分が多く含まれるからです。この酵素アミラーゼ、長時間熱を加えると甘味を増していくという特徴があります。この特徴を生かし、焼き芋を作る時は加熱時間を長く取ると、とても甘い焼き芋が作れます。上手に貯蔵して、美味しい焼き芋を作ってください♪