自然栽培、自然農法の定義はさまざまありますが、近年注目されているのが無肥料栽培。私のように一番始めにJAで慣行栽培を学んだ者からすると、びっくりな栽培方法なのですが、市場のニーズが高まっています。

野菜が育つ環境を作る

一般的な野菜づくりは、土づくりに堆肥、元肥、追肥などを施して育てる方法が常識になっています。肥料がなくても育つのは、野菜そのものの生命力で育つからだという説があります。作物の最も適した環境を農地に再現することで、農薬も肥料も必要なく豊かな収穫が得られます。そもそも植物は自然に生えて、種を残したり、根を伸ばしたりしてどんどん繁殖していっています。人の手が加わり、食用として栽培されることで、人が育てやすいように強制されているんです。野菜が本来もっている生命力が失われているから、外から栄養を与えないと生き延びられない環境になっているんです。
そこに着目して自然のバランスにそって考えてみると、野菜が生き生きと根を伸ばし葉を広げるには、どういう環境を整えてあげたらいいかがわかってきます。

どうして無肥料で野菜が育つのか?

自然の樹木や草花は、肥料を与えなくても育ちます。そもそも、植物は自分の種が生きのびるために、天気や虫・鳥の力を借りて自然任せで生きていけるように進化してきています。その生き延びる力を最大限引き出せるようにすることで、育っていきます。
とくに肥料がないことで、養分を吸い取るために根をしっかりとのばしていきます。根を伸ばした先には、微生物や菌がいて野菜に必要な養分を吸収することができるんです。そうすることで、肥料がない土地でもゆっくりとですが、確実に育っていくのです。

自然栽培の野菜は味がよい

テレビなどで野菜が紹介される場合は「甘い=美味しい」という図式があるようですが、自然栽培ではそれほど濃厚に甘さが引き立つことはありません。もちろん品種や品目にもよるとは思いますが…。
自然栽培でじっくり時間をかけて育った野菜は、どれも濃厚な味ではなくほのかな甘みがありスッキリとした後味のものが多いことが特徴にあげられるそうです。苦みのある野菜ももちろんありますが、後味にエグミがないものが多いそうです。
よく耳にするのは、人参やカブなどの根菜の甘さ。雑味がなくスッキリをした甘さで、野菜嫌いの子どもが食べられるようになったというエピソードがありますね。

自然栽培の野菜は腐らない

農薬や化学肥料を使用した野菜は腐る。無肥料で育てた野菜は枯れる。というのが自然栽培の野菜の常識のようです。調べてみるとこれに関しては様々な意見がありますね。

「雑草は枯れるでしょ?自然な状態は腐らず枯れるんですよ」

という記事もありましたが、雑草も上にあるのは枯れてますが、積まれて下の方にあるのはカビたり腐敗しているような気が…。付着する菌のバランスの問題のような気がしますね。
自然栽培のほうが菌のバランスが発酵する菌が多いという感じがします。発酵を促す菌は人間にとって有益だから、自然栽培の野菜はよいという図式なのでしょうか?
ちなみに、科学的な根拠があるとか無いとか一部で熱い激論が交わされることもあるようです。

土と野菜の力を活かす農法

土を自然な状態に戻し、野菜に本来の力を発揮してもらうのが、無肥料自然栽培というのを勉強して感じた印象です。
肥料を与えないので、野菜の育成は緩やかになりますが、雑味のないすっきりとした野菜本来の味が楽しめ、鮮度が長持ちするようです。しかも虫がつきにくいということですので、害虫駆除にかかる手間が省けてとても助かりますね。
翌年には自家採種した種をまき、またその種をとることで、育てた土地に適した野菜になっていくそうです。