まずは固定種の種を手に入れましょう。地域に根ざした「伝統野菜」などが育てやすいと思います。
ほかにも美味しいなと思った野菜の種を選んでとっておき、翌年植えて育て、また種をとっていくことで、だんだん自分好みの野菜になっていきます。
採種の作業は手間がかかりますが、自分好みの形や味のものを残すことで、さらに畑に合い、自分だけの野菜ができるようになります。種取りに挑戦することで、美味しさの可能性も広がります。

実のなる野菜の採種方法

実のなる野菜は完熟果から採種します。ナス、キュウリ、トマト、ピーマン、トウモロコシ、ウリ類など。
キュウリであれば、大きくずんぐり育ち、黄色くなるまで熟しているものが最適です。完熟果を半分に切り種を容器に出す。ゼリー質ごとプラスチックなどの容器に入れておく。常温で2〜3日発酵させて殺菌する。ボウルに入れて水洗いをして、水に沈んだ種だけを残し、天日で半日ほど干す。日陰の場合は、1週間ほど乾燥させる。
※ピーマン、オクラ、マメ科、トウモロコシは種を洗わない。
※種の乾燥がわるいとカビの原因になります。

葉もの野菜の採種方法

葉もの野菜は花を咲かせて採種します。シュンギク、レタス、ほうれん草、セロリ、ネギなど。
花が咲いたら、枯れるまで置いておく。花が枯れたら、取り込んで風通しのよいところで完熟させる。揉み解して種を取り出し、殻や未熟な種を取り除き、充実した種を選ぶ。

根もの野菜の採種方法

根のよい株の花を咲かせて採種します。ダイコン、ニンジンなど。
育成・形のよい株を最低ん2本選び、30〜40cm間隔でやや斜めに植える。全体が枯れたら根元から切り取って干し、乾かしたら固いさやをペンチなどで割って種を取り出す。
※ほどよく種が膨らんできたころに鳥害にあうことが多いので注意。

交雑させない工夫

野菜がほかの品種と交配すると、形質が変化してしまうことがあります。交雑しやすいのはアブラナ科のダイコンや株などはトンネルで覆うか一年交代栽培するとよい。カボチャなども交配しやすいので近くに植えるのは避ける。

主に自家受粉する野菜
トマト、ナス、マメ科、キク科(ゴボウ、レタスなど)は、同じ花や株の花粉で受粉するので、花ごと袋に覆ってほかの花粉を近づけないようにするとよい。

主に他家受粉する野菜
キュウリなどのウリ科の野菜や、ハクサイなどのアブラナ科の野菜は主に別の株の花粉で受粉する。複数の株ごと寒冷紗などのトンネルで覆い、異なる株の雄花からとった花粉を別の株の雌花に人口受粉するといい。

種とゴミを分けるコツ

サヤに入った種などは、種をサヤから出したあとにゴミと分ける作業が必要になります。一番のおすすめは風選です。
風のある日か扇風機のまえで、上から落とし下で種を受ける。サヤは軽いので風で飛ばされ、種だけが下に落ちるようにする。
細かくなってしまったゴミを、さらに選別する場合は下敷きをこすって静電気でゴミを吸い付かせることもできます。静電気を強くしすぎて種ごとひっつかないように注意。

種の保存

採種した種は、低温で乾燥した場所を好むので、通気性のよいクラフト紙や布袋などに入れ、冷蔵庫などで保存する。冷蔵庫の機能で野菜室の湿度60%などありますので、その場合は別の場所は乾燥剤などと一緒にジッパー付きの袋やプラスチック容器などに入れ、野菜室以外の棚やボックスに保存する。
種は保存期間が長いほど発芽率が落ちるので、採種した年月日を記載し、早めに使い切ること。(例:ネギ類4年、ダイコン8年程度)

種苗法の違反に注意

種苗法では、種が権利として守られています。種苗登録された品種の種を勝手に人に売ったり配ってはいけません。ただし、日本では種苗登録した苗から、個人的に自家採種することは認められています。種苗法も知的財産権と同じで細かいルールがありますので、人に配ったりしたい場合は、調べてみるのもいいかもしれません。