ヨーロッパで代表的な有機農法では、野菜作りと月の満ち欠けを連動して育てています。日本でも満月のときには虫が動きだし産卵をするとされていて、林業では新月に伐採した気には虫がつきにくいそうです。そうした月の満ち欠けを作業の目安にしていたことも知られています。
月の満ち欠けの影響
月が満ちる新月から満月の時期は、葉や根が育つ栄養成長が盛んです。月の欠ける満月から新月の時期は、開花や結実などの生殖成長が盛んになります。月が満ちるときに野菜の種をまき、月が欠けるときに収穫をするとよいとされています。月の満ち欠けと降雨に関係があるというデータもあるそうです。
とはいえ、実際には夏野菜のキュウリを代表に果菜類は毎日どんどん大きくなるので、新月になったから収穫を止めるわけにはいきませんので、月のサイクルは参考にする程度にして、少し意識しながら畑仕事に活かしていくのがよいと思います。月のサイクルを意識して、作業記録などをしておくことで、思わぬ関連性が後日浮かび上がってくることがあるかもしれません。種まきや植え付けの時期が、満月や新月が近いときは実践して記録をつけてみると面白いですね。
満ち欠け時にどんなことがおこっているのか?
新月のときには、樹液の流れが下にいき根部に集まります。上弦の月になるにつれて樹液の流れは上昇しはじめます。満月になると樹液は葉や花の部分に集中するようになります。下弦の月になると、樹液は根部に加工し始めるので、樹液が根部に集まります。
上記の林業に例えてみると、幹や枝の部分の樹液が少ない時期に伐採するので、腐りにくいよい木材が伐採できるということです。
月の満ち欠けと農作業の目安
新月:一ヶ月のはじまり
種まき、植え付け、地下に実る根菜類の収穫、種取り
上弦の月:新月から満月の満ちていく時期
葉・根・茎が育つ時期。種まき、茎葉を育てるための追肥、葉菜類や根菜類の中耕除草や草取り
満月:潮の満ち引きが強い時期
種まき、植え付け、地上に実る果菜類の収穫、虫が活発に動く時期なので、害虫駆除や捕殺
・満月の数日手前に種をまくとよい
下弦の月:満月から新月へ欠けていく時期
花が咲いたり、実がなる時期。種まき前の畑準備。花を咲かせて実をならせる追肥、果菜類の中耕除草、摘果や花がら摘み、収穫
日本の暦と農業
植物と月の関係を活かして農業やガーデニングをすることは、ドイツやイギリス、北欧などでは一般的なことのようですが、高温多湿の日本では、ヨーロッパにくらべ病気や害虫が発生しやすく同じようにはいかないことが多いです。
もともと植生も違うのでヨーロッパと同じ手法は使えませんが、日本には季節の変わり目に二十四節気があります。旧暦の暦をひもとくと自然のサインと農作業を重ねていることが多くみられます。
二十四節気をさらに細かく七十二候に分けられますが、これはその時期よくみられる動物の動きや植物の動きを示し、祭事があったり、季節を楽しむ行事があったりします。
日本の気候や生活習慣に基づいて生まれているので、日本ならではの気候にそって農作業と密接に関連していることがあります。旧暦の知識になりますので、季節感が少し違うようにも思いますが、こうした暦を意識することで季節感がよみがえり暦を目安に畑仕事を行うことで、成功率が高くなっていきます。
雑節
中国でうまれた二十四節気を補って、日本の季節の移り変わりを
的確につかみ、日本の気候や生活文化に照らし合わせ、主に農業がうまくいくように考えられた季節の節目。
五節句
無病息災や豊作などを願い、供え物をして邪気を祓うなどの年中行事をした季節の変わり目。新暦よりも一ヶ月遅い旧暦で行うと季節感が合います。中国の暦と日本の農耕生活の風習があわさり、季節を楽しむ行事として定着。